─ 6 ─ 私は、中学時代まで運動が苦手でした。しかし、高校入学後に偶然、陸上競技のやり投げと出合い、弱小陸上部で指導者もいない中、独自に練習して試合に出場していました。その後、いつのまにか運動が好きになり、大学は体育学部に進学しました(周りからは驚かれました)。さらに、大学では無謀にも強豪陸上部に入り、下積みながら少しでも記録を伸ばすために筋力トレーニング(以降筋トレ)に励みました。このおかげで、高校時代は都大会支部予選レベルだった自分が、4年目にはインカレに出場できるレベルまで記録を伸ばすことができました。この時に実感したのは、筋トレのすばらしい効果と魅力であり、これを専門にする仕事をしてみたいと強く決意するに至ったのです。 あれから40年…。筋トレを通じて多くの貴重な経験を積むことができ、自分自身も成長することができました。学生時代の筋トレとの出合いには感謝するばかりです。そして今でも、筋トレの新たな魅力と奥深さに気づく日々が続いていることに驚かされています。 現在、多くの人々が筋トレを当たり前のように実践する時代になりました。筋トレは、スポーツの競技力向上はもちろんのこと、健康づくり、介護予防、体型改善など、私たちが生涯にわたって活動的で質の高い生活を送るために、欠かせない恩恵をもたらしてくれます。「人生100年時代」と言われるようになり、これから先は、高齢になっても元気に働くための体力と気力がさらに求められるようになっていくことでしょう。この時に必要とされるのが、安全で効果的な運動指導ができる質の高い指導者であり、まさに「社会から求められる人材」であるといえるのです。 体育・スポーツ・健康系の学校を目指す皆さん! 進学後に身につける知識と技能、そして自分自身の実践経験は、多くの人々の健康と幸福に貢献することに必ずつながります。この分野の専門家を目指すことに自信と誇りを持って、充実した学生生活を迎えられることを願っています。特定非営利活動法人 日本トレーニング指導者協会理事長あるがせいじ▶東海大学健康学部教授。大学では、体育会クラブを対象とした「東海大学スポーツサポートシステム」を創設し、25年間にわたってトレーニングの指導・統括や学生スタッフの養成を行う。学外では、柔道、バレーボールなどの日本代表チームのトレーニング指導を手掛けた。健康づくりのための筋トレの普及活動にも携わる。選手としては、ボディビル競技において日本代表としてアジア選手権準優勝などの成績を収めた。東海大学ボディビル部監督。JATI認定特別上級トレーニング指導者(JATI-SATI)。体育・スポーツ・健康系をめざす人へ有賀 誠司 さん学生時代の筋トレとの出合いに感謝!
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