分野別ガイドブックNo1
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すがの しげき▶1981年早稲田大学理工学部機械工学科卒業。修士、博士課程を経て1986年早稲田大学助手。専任講師、助教授を経て1998年より教授。工学博士。現在、早稲田大学理工学術院創造理工学部総合機械工学科教授。2017年文部科学大臣表彰科学技のむら まさみ▶鹿児島県出身。鹿術賞。2014~2020年早稲田大学児島大学理学部卒業。日本ユニシ理工学術院創造理工学部長兼研ス㈱にて17年、金融機関向けSE、究科長。2020年より早稲田大学理PM業務に従事後、社内ベンチャ工学術院長。2017年計測自動制ー第1号案件で3年間新サービス御学会会長。2023年より日本ロボを企画・実行。独立後15年、中小企ット学会会長。人間共存ロボット、業の現場で経営と情報化を支援。機械における心の発生などの研2022年6月より現職。究に従事。 皆さんは、「リ・スキリング」※注1という言葉を聞いたことがあるでしょう ロボットは、産業ロボットとサービスロボットの二つに大きく分けることができます。産業ロボットは、人の代替あるいは人手不足解消のために、主にか? いろいろな職業の方々が今まで経験して培ってきたスキルだけで製造現場で使われるロボットであり、自動車や電子機器の製造ラインにおは収入を得ることが困難になるため、違うスキルを身につけるようにと国いて高い効率と精度での自動化を実現しています。また、物流や農業などが積極的に、このリ・スキリングを支援しています(2023~2025年度予算でも使われ始めています。近年では、さらなる効率化を求めて、人と一緒に作業が可能な協働ロボットも開発が進んでいます。サービスロボットは、福はなんと1兆円)。祉、医療、家庭、商業などで使われるロボットであり、特に少子高齢化の日 このように時代の流れによって、その時に必要とされるスキルは変わり本では、日常生活のサポート、健康管理、リハビリテーションなどでのニーズます。「IT(情報処理技術)」は今まさに必要とされているスキルで、多くが高くなっています。また、レストランでの給仕ロボットや案内ロボットも急速の方が学び直しで「IT」を選んでいます。特に、デジタルの力で変革をに増えています。探査ロボットや災害対応ロボットなど、特殊な分野で活躍するロボットも、広い意味でサービスロボットに含めることができます。起こせるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材を育成する研修は 最近、ChatGPTに代表されるような生成AI、クラウドなどのコンピュータ人気が高く、活況です。技術の急速な拡大を受けて、AIを備えたロボットは人と同様の高度な機 この中で重要視されているのは、D(デジタル)よりもX(トランスフォー能とスキルを備え、より複雑な作業を自律的に行えるようになりつつありまメーション)の力で、それはまさしく「チャレンジする気持ち」(考え方)のす。人と同等となるにはまだかなり時間がかかりますが、2040年頃には、家事、介護から病院での看護まで、あらゆる場面で人と一緒に作業ができる力です。人は45歳を過ぎると安定を求めて、チャレンジしなくなるという研ロボットが登場すると予測されています。しかし、ロボットの普及には社会究結果(個人差あり)をよく耳にします。のびしろしかない若い皆さんは、的な問題も存在しています。例えば、安全性の問題、倫理の問題がありまこのチャレンジする力を身につけることが可能です。企業や組織は、そす。自動車は、既に道路交通法や保険が整備され、その上で自動運転技のような人材を求めています。いろいろなことに興味を持つこと、やって術が普及し始めています。自律ロボットは人と同じように判断して作業をしますが、ロボットには自動車のような法律や倫理規定などが未だ整備されみること、その結果を伝達すること、あきらめないことが大事です。ていません。特に人と一緒に作業する協働ロボットや介護ロボットなどは、 このDXを推進するための資格として、「ITコーディネータ」という経済ロボットそのものの技術開発だけでなく、ロボットを使うための法規制や社産業省推進資格があります。以前はいろいろな経験をした方がチャレン会受容性も考える必要があります。ジする資格でしたが、最近は20代の資格者も増えています。一言でいう ロボット技術の特徴は、様々な技術が統合されていることです。これをシステムインテグレーションと呼びます。すなわち、幅広い知識と経験が必要と、「ITで変革を推進するコーディネータ」です。なのです。そこには、機械、電気、コンピュータなど、あらゆる学問分野が含 「IT」はこの先、間違いなく若い皆さんには取り組みがいのあるスキまれています。これらの分野や技術は、高校のカリキュラムには含まれておルになってくるでしょう。ITの基礎を学ぶことや会社・組織の仕組みにらず、大学や専門学校などで学ぶことになりますが、その基礎は数学と物興味を持っていただき、21世紀に新たなフロンティアを築いていける人理学です。高校生の皆さんがロボット業界を目指す際には、数学や物理材となるよう育って欲しいと思います。皆さんのチャレンジをお待ちして学をしっかりと学ぶことが大切です。高校でもICT教育が強化されつつありますが、PythonやC++などを学び、実際に様々なプログラム作成の経験います。を積んでください。さらに、学校のロボットクラブへの参加や地域のロボット競技会に挑戦することも有効です。しかし、基本は数学と物理学であるこ※注1 「リ・スキリング(Reskilling)」とは、職業能力の再開発、再教育のことを意味しまとを忘れないでください。ロボットは新しい学問であり、どんどん技術は進んす。 近年では、企業のDX戦略において、社内で新たに必要となる業務に人材が順応できでいます。これに追いつくためには、常に幅広く新しい知識を学び続けるるようにする再教育という意味でも使われることが増えています。 技術進歩によって衰退す姿勢が必要ですが、まずは基礎をしっかりと身に付けてください。る産業がある一方、新たに生み出され、必要性が高まる業種・職種もあります。特定非営利活動法人一般社団法人 日本ロボット学会ITコーディネータ協会会長会長情報・IT・AI・デジタル・自動車・航空・建築・工業系をめざす人へIT・AI・自動車・建築・工業系をめざす人へ野村 真実 氏菅野 重樹 氏IT業界をめざす人へロボット業界をめざす人へ

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