分野別ガイドブックNo1
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うえがいと しんいち▶ウエガイト建築設計事務所代表。1990年千葉大学大学院修了、團・青島/團紀彦建築設計事務所等を経て現職。千葉大学、芝浦工業大学、日本工業大学等で非常勤講師歴任。現在、浅野工学専門学校非常勤講師。(公社)日本建築家協会理事および関東甲信越支部副支部長。 《デザイン 物語 調和 共感 遊び心 生きがい》 これは、アメリカの作家ダニエル・ピンクが2006年に出版したベストセラー著書『ハイコンセプト』の中で、「新時代のスーパービジネスマンに必要な6つの感性」として紹介されたキーワードです。当時ビジネスマンたちの間で大きな話題となったこの6つの感性、実は建築を勉強する人には、けっこう身近なことなのです。 建築の学校に進むと、たいてい、将来設計者を目指す人もそうでない人も、設計課題に取り組むことになります。この「設計を学ぶ」ことには、重要なメリットがあります。それは、冒頭の6つの感性が知らず知らずに養われるということです。なぜなら、設計というのは自分でゼロから考え、形にして、何か選択に迷うたびに必ず1つを選んで前に進み、最終的に1つの作品に仕上げなければならないからです。「デザイン」や「調和」「遊び心」はもちろんですが、常に自分の考えを説明し、聞く人を納得させることが求められます。作品の世界観を「物語」として話し、「共感」を得ることはとても大切なことになります。これは、すごいことです。建築設計を勉強すると、自分でも気づかないうちに、これらの感性がほんの少しだけ、もしかしたらずっと多く、一般の人よりも磨かれていくのですから。 ところで、皆さんは、建築士というのは、どのような資格だと思っていますか。設計する人の資格? いえ、実はそうではないのです。建築士というのはまさに、建築をつくりあげるために必要な様々な立場の人が持つ必要のある、共通の資格として作られました。もちろん設計者も建築士である必要がありますが、工事に携わる施工者にも、発注者(建て主)にも、材料メーカーにも、色々な立場で同じ建築士という資格を持った人々がそれぞれ責任を持って関わることで、国際的にも高い評価を得ている我が国の建築の品質をしっかり確保しているのだということを、是非知っておいていただきたいと思います。そしてその建築士は、みんな設計を勉強することで6つの感性に触れています。 建築は、ゼロからつくりあげるというその仕事を通して社会や人々に尽くし、その結果、達成感や満足感を得やすい職業ではないかと思います。建築の学校を目指す皆さんには、6つの感性を得る先に大きな未来が広がって、いつしかそれが生きがいになっていくことでしょう。公益社団法人 日本建築家協会理事情報・IT・AI・デジタル・自動車・航空・建築・工業系をめざす人へ上垣内 伸一 氏建築業界をめざす人へ

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