容師の特権である「顔そり(シェービング)」技術が見直されています。長びくマスク生活でスキンケアが重要視され、女性専用のシェービングサロンやブライダルエステの台頭も話題を呼び、シェービングは今や男性だけのサービスではなくなりつつあります。トータルビューティとして理容技術を取り入れるサービスも増え始めており、今後は理容師資格を持った美容師やエステティシャンなども増加していくことが予想されます。また福祉業界からのニーズも増加しており、高齢者施設や病院への訪問・出張理容サービスが注目されています。 日本の理容業は長い歴史と伝統を持ち、その正確さと繊細な技術が世界でも高い評価を受けていますが、若者の理容室離れに伴い、後継者不足や理容師を目指す学生の減少が長年の問題になっていました。しかしフェードなど理容師の特徴を活かしたヘアスタイルの流行や、ニューヨーク発のお洒落理容室“バーバー”の登場などにより理容師のイメージが変わり、ファッショナブルな存在として若者の間にも注目され、新卒理美容師の就職先としても人気を集めています。ー美容業界ーまつげエクステが定着変化に対応できる美容師を 前年に引き続き、美容師は男女ともに人気の高さを維持しています。美容店舗数も上昇し、全国的に増加するなど、今後もこの勢いが続くことが予想されています。就職状況についても多くの学校や施設で学生数を上回る求人が集まっており、依然売り手市場であることがうかがえます。また、近年の美容業界では「まつげエクステンション(まつエク)」が人気の高いサービスとして注目されています。施術には美容師資格が必須とされ、各校でもまつげエクステ教育に力を注いでいます。これからは新しい技術にも対応可能な美容師が増えることが期待されます。美容サービスの多様化が進んでいる現在、今後は技術や接客スキルはもちろん、さまざまな変化に柔軟に対応できる美容師が求められるでしょう。 美容師は人気の反面、離職率が高いことが以前から問題視されていますが、最近ではサロンと提携した実習やインターンシップなどを通じて、実際に就職してから感じるギャップを減らそうとする働きかけが増えてきている傾向にあります。通常、サロンに入ってからの修業期間は3年と言われていますが、サロンや個人の努力によって1年から4年以上かかる場合とさまざまです。サロンの特長やカリキュラムなどの情報収集を行い、自分に合ったサロンを探しましょう。また、労働時間の短縮や社会保険の完備、福利厚生の充実など、労働環境の改善を図るサロンも増えているようです。ーエステ・メイク・ネイル業界ー利用者の年齢層に変化福祉・医療系にも広がる活躍の場 エステサービスは価格や施術期間などの点で、これまで敷居が高く思われがちでしたが、最近ではサービスの多様化とともに利用する年齢層も拡大しており、「癒し」を提供するエステは理美容と同じくらいに身近なサービスとして大いに需要が見込まれています。また、メイクやネイルの技術は現在福祉や医療の分野にも活用されており、お年寄りや体の不自由な人に向けた美容サービスを行う会社やサロンも増えてきています。分野の垣根を超えたさまざまな美容ニーズに対応できる、幅広い知識を持った技術者が今後求められていくでしょう。 理容師・美容師のような国家資格がないエステ・メイク・ネイル業界ですが、制度などを統一することで、資格をもっとメジャーなものにしようという動きが活発になりつつあります。将来、国家資格と同等の技術の証として知られるようになれば、美容技術者としての進路の幅がさらに広がることが期待されます。74業界就職最前線
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