分野別ガイドブックNo3
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4 調理の世界あるいは食の世界に進もうとの志を持ったら、そこで具体的に目標とする好きな料理や人物を想定して精進することが、夢実現の一方法として大切なことです。例えばめざす人物が外国のシェフだったらあの人、日本のシェフだったらこの人といった具合に。あるいは将来は何々ホテルの総料理長になるんだ、ということでもいいでしょう。世間的な名声を得た人を目標に、それに少しでも近づけるよう努力を積み重ねていくこと。これが料理のプロフェッショナルへの第一歩です。調理師学校を卒業したあとの進路を考えるに際し、どうしてもあのシェフのもとで修行したい、あるいは評判のこのお店の厨房で腕を振るいたいといった強い信念を持って臨むことです。かりに就職試験がダメで断られたとしても、昔の話ではありませんが、雨の日も風の日も雪が降る日も早めに行って門や玄関で待っているくらいの心構えがないといけません。それはとても大事なことで、最近ではそのような信念や根性を持った人が少なくなりました。これまで成功をおさめた人のほとんどが、岐路の節目節目では自信を持って力強く選択してきているのです。 ところで、自分自身の仕事(就職)を成功させるためのポイントを3つ掲げたいと思います。それは調理や食の分野にとどまることなく、どの分野においても通用すると思いますし、また、見方を変えれば人生を生き抜く方法論ともいえます。その1。他人(同僚)より先に職場に入ること。少なくとも先輩より10分早く行くこと。「また、あいつ来ている、あいつが一番乗りか」となれば印象が違います。その2。(定休日以外は)絶対に休まないこと。休みがちだと頼りにされません。無断欠勤ともなると言語道断です。10分早く来て、さらにあいつは絶対に休まない、となると信頼度が比較にならないほど違ってきます。その3。挨拶がきちんとできること。これは基本中の基本で説明を要さないでしょう。 以上の3つですが、一言でいえば、頭で考えるより形式から入るということです。この3つの形式は一見簡単な日常行為ですが、とても奥深いものです。これを踏まえた上に調理技術の向上や、オリジナリティー溢れる調理技法、独自の哲学や世界観が生まれてくるのです。原点は昔も今も同じで普遍的なものなのです。日本一!いや世界一をめざして。公益社団法人全国調理師養成施設協会 会長立教大学社会学部を卒業後、昭和大学医学部博士課程で医学博士を取得。現在は、学校法人服部学園理事長、服部栄養専門学校校長として「食は人の心と体を育むものである」という精神のもと、長年に渡り、「選食能力」、「しつけ」、「食料問題」の3つの柱から成る“食育”の必要性を説き、多数メディアの出演、企画・監修や各種団体の委員、大学講師も務める。食物・栄養・調理・製菓系をめざす人へ服部 幸應 さん仕事を成功させるための3つのポイント

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