分野別ガイドブックNo3
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 皆さんが製菓衛生師をめざし、学校に入る前に確認してほしいことがあります。それは、本当にお菓子やパンが好きかどうかということです。本当に好きだ、何を見ても食べてみたい、作ってみたいという意欲や興味、好奇心がとても大事です。どの分野にも同じことが言えますが、「好き」という気持ちがどれだけ強いか確認してみましょう。本当に「好き」なら他人から見てつらいことも本人は苦にも思わず前向きに頑張れるものです。また、製菓専門学校の授業は3分の1以上が実習授業、プロ同様に立ちっぱなしで、実習を行う毎日なので、自分の健康管理ができることも大切な要素となります。 製菓衛生師養成学校は年々学校数が増え、いま全国に124校あります。○△学校の卒業生はだいたいこんなタイプと分かるくらい各校の教育方針に違いがあります。さまざまな技術を教えていく学校、技術だけではなく、食に関する専門的な知識教育に力を入れている学校などいろいろです。私の学校では人間教育というものを全面に出して行っています。それは、食の仕事に限らず、お客様に満足をあたえ、おもてなす職業に就く以上、一番大事なことは人間性だと思うからです。製菓専門学校では、在学中にしか学べないことをしっかり学んでほしいと思います。 まず第1に基礎・基本の技術しっかり身に付けるということです。お菓子作りやパン作りなどは大多数の製菓専門学校で実習として学びますが、ただ数多く、幅広く学ぶのではなく、学校で学んだ基礎・基本にプロとしての実務経験を上乗せできるような技術を身に付けてください。第2に、安心・安全という衛生管理の部分をしっかり身に付けることです。職場には即戦力として配属されますので、在学中に身に付けておかなくてはなりません。第3に、製菓・製パン材料の特性をしっかり勉強することです。材料の特徴や成分、どういうところで生産されたものかなどを把握します。これも、職場では教えてもらう余裕がないので、在学中に身に付けておきます。第4に、マネージメントについてです。人、もの、コスト(お金)に対してコントロールできるのがプロです。以上、4点を在学中に確実に身に付け、皆さんが製菓衛生師として活躍されることを期待します。一般社団法人全国製菓衛生師養成施設協会名誉会長1938年生まれ。日本女子大学卒業。1970年、平山政善氏とともに誠心調理師専門学校を大田区に設立。1999年、国際フード製菓専門学校を横浜市に設立。2000年、フランス国家農事功労賞シュバリエ受章。2004年、大田区区政功労者表彰。2006年、東京都産業教育振興会功労者表彰。『心価の時代』『新さわやかマナー・ゼミ』ほか著書も多数。5食物・栄養・調理・製菓系をめざす人へ廣瀬 喜久子さんいちばん大事なことは人間性

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