分野別ガイドブックNo4
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保育・幼児教育業界への就職少子化と言われながらかえって複雑化し、拡大するニーズ保育・教育・福祉系の就職状況は?行政で福祉や保育に関わる社会福祉主事・児童福祉主事まずは公務員試験に合格250002000015000100005000000■保育園利用率と待機児童数の推移(人)30000H28H29H30R1R2R3R4(参照/「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」令和5年8月1日 厚生労働省発表)2100000180000015000001200000900000600000300000800000600000400000200000■全国の施設従事者の数1000000(令和3年10月厚生労働省調べ)保育士(%)6657.8%52.4%2,6802,6805850423426R5(参照/令和5年8月 (公財)社会福祉振興・試験センター) 国では介護報酬の引き上げ、職員の報酬アップを図ってきましたが、実際はまだまだ人材不足で、一人ひとりの職員の負担が減っていない施設がいまだたくさんあるのが現実です。 しかし、国が推し進めている、介護職関連の資格のグレードアップや、資格取得までの経路の整備に関する効果が現れれば、より質の高い人材が増えることとなり、現状の問題も徐々に回復していくものと期待されています。 現在、都市部では、少子化と言われながら相変わらず保育所の受け入れ態勢不足が深刻な状態です。 一方、地域によって状況は異なりますが、地方では、少子化によって公立幼稚園や保育所双方が定員割れを起こし、早くから両者を統合した「認定子ども園」への移行が進んでいます。 そういった地域の「認定こども園」は行政と繋がり、地域の「子育て支援センター」としての役割も担っています。 ここからわかるのは、幼稚園や保育所に求められるニーズがどんどん複雑化してきていることであり、それらに関わる幼稚園教諭や保育士の需要も狭まるどころかますます拡大し、より専門性の高い人材が求められる傾向にあるということです。ただ単に子どもたちを保育するだけではなく、子育てアドバイザーとしての役割や、保護者を含む地域の子育て世帯に対するソーシャルワークの一端となることができるような資質が求められています。 国は幼保一体化を目指して、今後、「認定こども園」の拡充を進めるとし、幼稚園教諭免許状保有者が保育士資格取得を目指す場合、負担軽減の特例制度を行っています。 こういった国の動きを考えると、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を取得しておくのが有利だと思われます。 また、基本となる二つの資格だけでなく、多様化する「保育のニーズ」に応えるために、幼児英語や幼児体育、リトミックを学んだり、地域の子育て支援のプロとして活躍できるよう、福祉系の資格をとっておくのもよいでしょう。 これは保護者のニーズがさまざまな方面へ広がっていることの現れであり、それに対応して保育英語検定などの新しい資格も登場しています。 また、現在地域の保育所は子育て支援の一翼を担う存在となっており、行政の児童福祉部門と連携して家庭支援を行う例も増加しています。 これからの幼稚園教諭や保育士は子どもに関わること全てのエキスパートとなることが求められ、今後しばらくこの傾向は続くと予想されます。 行政で福祉や保育に関わるという選択肢もあります。 社会福祉主事や児童福祉司として地域の福祉や保育に関わるのが一番多いパターンですが、社会福祉主事や児童福祉司になるには、まず、自治体の公務員試験に合格する必要があります。 また、社会福祉士の国家試験受験資格を取得して合格し、地方自治体の社会福祉事務所でソーシャルワーカーとして身体や精神に障害のある人、なんらかの理由で日常の生活が困難な人に相談・援助を行い、地域の福祉に尽力する道もあります。 公務員試験が必要な職種の場合、希望通りの自治体で、望みにかなった配属がされるとは限りませんが、実際、地域の福祉や保育に携わるようになった場合は、とてもやりがいのある仕事と言えるでしょう。─ 61 ─業界就職最前線待機児童数利用率(総数)利用率(3歳未満)■全国の資格取得者の数介護福祉士社会福祉士介護福祉士保育士(令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況 厚生労働省調べ 令和3年社会福祉施設等調査の概況 厚生労働省調べ)26,08126,08123,55323,55356.0%19,89519,89553.7%50.4%48.1%50.9%45.7%47.0%47.7%12,43912,43949.4%42.4%42.2%44.1%45.8%16,77216,77240.6%5,6345,6342,9442,9441,939,942人1,731,000人286,954人938,944人(令和3年10月)406,005人(令和3年10月)多様化するニーズに応えるために専門性を磨き、将来に備える

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