─ 5 ─ 声優の仕事はアニメだけではなく、洋画、ゲーム、ナレーション、ラジオなど多岐に渡ります。最近は歌手やタレントなどマルチに活動する人が増え、そうやって幅広く活動していきたいと業界を目指す方も増えています。役割が多く、大変なのではないかと思われるかもしれませんが、「この仕事が好きだから、楽しみながら続けている」「大変さより楽しいという気持ちが勝つ」と言う人がほとんどです。そういう気持ちがあってこそできる仕事なのだと思います。コロナ禍を経て動画配信サイトを観る機会が増えたことや、多くのアニメ映画がヒットしていることにより、この数年で声優という職業が、より一層注目されていることを実感しています。海外のアニメファンからの期待も高まっており、イベント開催などグローバルな展開も進んでいます。 日本声優事業社協議会では、2007年の設立以来、声優の社会的地位向上をはじめ、報酬やハラスメントなど声優を取り巻く課題を解決するためにさまざまな取り組みを行ってきました。声優文化を守り、新しい世代に繋げていくために、現在52社の声優事業社が加盟しています。 声優という仕事の醍醐味は、本人の年齢や性別、外見にとらわれず、どんなキャラクターにもなれるところだと思います。声優として活躍するには高い表現力を身につけることは必須事項ですが、自分にしかない特別な何かを見つけて伸ばすことと、また一緒に仕事をしたいと思ってもらえるような人としての魅力を磨くことも大切です。声優が必要とされる作品は増えていますが、声優を目指す人も年々増えているので、継続して仕事を獲得することは簡単ではありません。学校で学び、養成所に入ったとしても、思い描いていたようになかなかデビューできず苦しい思いをすることがあるかもしれません。ですが、声優になるために身につけた“声にあらゆる情報を乗せて相手に届ける技術”はどんな仕事をする上でも絶対に役に立つことなので、声優になりたいという気持ちがあるならぜひ恐れずに挑戦していただきたいと思っています。また、挑戦するにあたって「このプロダクションには憧れの人がいるから入りたい」「この学校のあの講座を受けたい」など明確なビジョンを一度描いてみることをお勧めします。そうすれば、周りの大人たちに自分の熱意を説明することもできるようになりますし、頭の中が整理されて、何より自分のためになります。今ではオンライン講座なども充実しているので、場所や年齢、経験にとらわれず、好きだと思う気持ちを大切にして飛び込んでみてください。応援しています。一般社団法人日本声優事業社協議会理事長1974年生まれ、東京都出身。数々の人気作品に出演する声優が所属する声優プロダクション・株式会社賢プロダクション代表取締役。父は声優の内海賢二さん、母は同じく声優の野村道子さん。巻頭メッセージ 声優をめざす高校生の皆さんへ内海 賢太郎さん好きな気持ちを大切に明確なビジョンを描いて挑戦してみよう
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