薬剤をどう用いるかを学ぶ薬剤学と、どのような薬剤を作るかを学ぶ製薬学。薬学の分野にはこの2つがあります。 近年、医療現場、特に病棟で薬剤師の需要が高まっているため、医療分野と積極的に関わる機会が増えています。また、薬剤師は病棟や調剤薬局で直接患者と接しながら薬剤に関するケアを行うため専門知識の他に、医療人としての心を学ぶ必要があります。たとえばドラッグストアや薬局に医薬品を購入しにきた人に対してのケアや「もっとも効果がある市販薬」を推薦するのも重要な仕事です。 製薬学では、最先端のバイオテクノロジーを利用した創薬研究や遺伝子治療研究などを行っており、薬品の合成法や薬品製造科学、薬品製造工学など、主に薬品製造に関する理論や技術について深く研究しています。 この他にも、生体に作用する物質として食品と薬との接点を見いだす研究や、環境衛生に関する研究なども行われており、薬学生はこれらの基盤となる学問に6年間かけて取り組むことになります。 人間の命の維持や身体の健康を保持するために必要な「栄養」について研究し、健康と食物の関係を科学的に解明します。近年では、食事と生活習慣病が大きく関係することがわかり、食事と病気との関係の研究が進んでいます。肥満や生活習慣病を予防するには、摂取する栄養をコントロールするために、食事に気を配ることが大切です。 栄養学では、食事摂取と消化吸収のしくみ、食品に含まれる栄養と身体の反応などを分析し、健康な身体をつくり、維持していくために理想的な栄養のとり方を探ります。 看護学は、入院患者の心身のケアをするだけでなく、健康増進や疾病予防、リハビリテーションにまで携わっています。 看護学では、基礎部分で、人間の体内の仕組みを学ぶ解剖生理学や、体内の化学的な反応を学ぶ生化学、健康と栄養の関係を学ぶ栄養学、遺伝と病気との関係を学ぶ遺伝学、薬がどのように効き、どんな副作用があるか等を学ぶ薬理学、病気になった臓器や組織の構造や機能について学ぶ病理学、さまざまな病気の概要を学ぶ疾患学など学習範囲は多岐にわたります。さらに、具体的な看護の理論や手法を学び、その上に在宅看護、成人看護、老年看護、小児看護、母性看護、精神看護といった、看護する相手の状況にあわせた看護について学びます。癌や死を迎える準備をしながら闘病する患者さんの看護など、特別な配慮を必要とする患者さんに対しての看護法もあります。 看護学を学ぶことで看護師の資格を取得し、さらに必要な勉強をすると、女性の妊娠、出産、分娩後のケアを行い、出産を介助する助産師、地域や職場の保健指導を行う保健師を目指すことができます。 ますます高度になる医療の場での看護の機能も拡大傾向にあり、救命救急・重症患者のケアなど、より高い看護知識や技術も求められています。昨今では訪問看護の需要も増え、高齢者の介護や健康管理なども行います。 「保健衛生学」は、病気を含む「人間の健康全体に関係する分野」を対象としています。医学・生物学的な研究に、社会学、心理学、福祉学などの視点を加え、体系的に研究します。ほか、精神面のケアなども含み、人々の健康管理・維持・増進を図る学問です。─ 30 ─医療や福祉に関するエキスパートになる薬のスペシャリストを育てる薬 学食物の栄養と健康の関係を研究する栄養学チーム医療の一翼を担う看護師を養成看護学病気の予防や健康増進方法を学ぶ保健衛生学
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