救急医療の最前線で応急処置を行い、生命維持をはかる専門職●救急救命士になるには 救急救命士の国家試験に合格すると免許が与えられます(厚生労働大臣の免許)。国家試験の受験資格を得るには、高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事指定の養成施設で2年以上にわたり必要な知識と技能を修得する必要があります。このほか、消防機関に所属し、救急医療の実務経験者に一定期間の教育後受験資格を与える制度があります。 救急救命士になるための専門学校には2年制と3年制があります。大学では、保健、体育、工学専攻の学生が、他の教職、医療系資格の他に救急救命士の取得が可能なカリキュラムになっています。▶さらに詳しく知りたい方は:看護医療進学ネットhttps://www.ishin.jp/または「看護・医療系学校最新入学全ガイド」(10月発行)をご覧ください。●救急救命士国家試験合格率の推移合格率(%)2020年2,9602,5752021年2,9992,5992022年3,2632,9792023年3,2553,054受験者数(人)合格者数(人)実施年87.086.791.393.8 救急車に同乗して、病院への移送間で患者の生命を維持するのがしごとです。 救急救命士は、一般の救急隊員には許されていない、呼吸停止や心臓停止といった心肺停止時様態の人の蘇生に必要な措置などを行うことができます。 救急救命処置による初期治療により、患者の死亡率が改善され、二次障害発生の危険性を防ぐ役割も担っています。 救急救命士の実績にともない、今まで医師の指示がなければできなかった、高度な処置も可能となってきました。●おもな救急救命処置①乳酸リンゲル液を用いた静脈路②食道閉鎖式エアウエイ、ラリンゲアルマスクまたは気管内チューブによる気道確保③エピネフリン(薬品)の投与④乳酸リンゲル液を用いた静脈路⑤ブドウ糖溶液の投与⑥血糖測定器(自己検査用グルコー⑦聴診器の使用による心音・呼吸⑧血圧計の使用による血圧の測定⑨パルスオキシメーターによる血中⑩自動式心マッサージ器の使用によ などを代表とする33項目の救急救命処置の実施が認められています。 特に、①〜⑤は特定行為と呼ばれ、救急救命士の資格を持つ者しか実施することはできません。 これまで特定行為は心肺停止状態の傷病者でなければ実施できませんでしたが、2014年1月に救急救命士の処置拡大が行われ、心肺停止状態でない傷病者でも一部の特定行為が実施できるようになりました。確保のための輸液確保および輸液ス測定器)を用いた血糖測定音の聴取酸素飽和度の測定る胸骨圧迫心マッサージ─ 51 ─ 救急車を所有する消防署、つまり、各地方自治体の消防官採用試験を受け、消防職員として消防署に勤務、海上保安庁や自衛隊でも通用します。女性消防官の採用は少ないのが現状です。 民間の患者搬送業務事業所などがあり、将来的には病院をはじめとする医療機関や診療所のある企業への進出も予想されます。なお、2年制養成施設を卒業見込みで在学中に公務員試験を受験し、卒業前に就職先の内定を受けることが可能です。 救急事故の激増、人口の高齢化、疾病構造の変化などを背景に、救急医療機関に運ばれる患者数は増え、救急車の出動は年々増加しています。さまざまな事故が多発する現代社会のなかで、高度な医学的知識と技術をもった救急救命士の活躍が期待されています。ライセンスのとり方卒業後の進路緊急を要する患者を病院に運ぶ。高度な措置も可能救急救命士救急救命士
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