高校卒業後の進路は将来を左右するとても重要なことといえます。このページは2023年度の入試の傾向を知り、24年度を展望してみたいと思います。●改編前年のため「安全志向」に 大学入試は25年から、「情報」などの科目が加わった新学習指導要領による「新課程」によって実施される予定です。制度の変わり目は大学側も受験生側も不慣れなので、新課程での入試になると思うような結果が残せない可能性が高くなります。そのため、「旧課程」で行われる最後の入試となる24年の入試は、「難易度を下げてでも、入試制度が変わる前に大学に入っておきたい」という心理から安定志向になると予想されます。また、18歳人口が前年に比べ約3万4,000人も減少しているのに対し、大学の定員が約3,000人増加しているため、受験生にとっては望ましい状況と言えるでしょう。(参考:毎日新聞他)15今どき高校生の志望先いつも以上に前年の入試結果や動向を踏まえた戦略が必要か?●相次ぐ理工系学部の新設 文部科学省は22年、デジタルや脱炭素分野などの人材育成のため、理工系学部の新設や再編、定員増加に対する支援事業を始めました。その影響で24年は理工系学部の新設が相次いでいます。特徴としては、千葉大学の情報・データサイエンス学部や金沢学院大学の情報工学部に代表される情報系の学部・学科の新設が多いことです。一方、明治学院大学の情報数理学部や麗澤大学の工学部など文系大学での理工系学部新設、お茶の水女子大学の共創工学部や日本女子大学の建築デザイン学部といった女子大における理工系学部新設も目立っており、理工系受験生には選択肢が広がりました。●本格化する理工系学部の「女子枠」 海外の大学に比べ、日本の大学は理工系の女子学生が少ないことが長年問題になっていました。そのため、近年、理工系学部の入試における「女子枠」が誕生し、これまでに芝浦工業大学や名古屋大学などで導入されてきました。24年の入試ではこの女子枠が本格化し、国公立大学では東京工業大学、熊本大学、北見工業大学など、私立大学では東京理科大学、東京都市大学、大阪工業大学などで女子枠が新設されます。こうした理工系学部の女子枠新設・拡大は今後も続くと予想されるので、理工系学部を目指す女子受験生にとって朗報と言えるでしょう。
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