学びのすすめNo3_2025
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理学系おもな専攻カリキュラム・電磁気学・幾何学・量子力学・有機化学・熱力学・無機化学・代数学・物理化学etc.【資格・進路】研究職、教員、エンジニアなどがおもなルートに 理学系分野で学んだ人の中には、研究者高等学校の教員(数学、理科など)免許状を目指して大学院へ進学する人が多くいまを取得するためのカリキュラムが用意されす。その後は大学教員となる道や、研究所ています。これを利用して教員への進路を研究員、民間企業研究員などの道に進む選択する人も少なくありません。ケースがあります。 もちろん、大学卒業後に民間企業に主に また、多くの大学の理学部では、中学校・研究職として就職する道もあります。●理学部 理系・理化学系といわれる分野の学問について、基礎から体系的に学んでいきます。理学には数学、化学、生物学、物理学、地学などの専門領域が存在します。多くの大学ではそれぞれを専門的に学び、研究していくための学科を設けています。中でも代表的なのは、数学科、物理学科、化学科の3つです。○数学 主要な科目は微分積分学、線形代数、幾何学などです。大学で扱う数学は高校で学ぶものに比べると抽象的で、定理の証明などを中心に、数学的議論を行いながら数学の理論そのものを学んでいくといった傾向が強いといえます。数学上でしか存在しない空間などを対象とするため、高度な論理的思考力が求められます。最近では、大学によって、コンピューターを使った計算に精通するための科目も用意されています。○物理学 物理学で扱う分野は素粒子から宇宙、生物にまで及びます。時間や空間もまた、研究対象です。高校でも扱う電気学、熱力学、流体力学、解析力学といった古典力学にはじまり、量子力学、統計力学、相対性理論などの現代物理学の基礎を学んでいきます。専門分野に入ると、素粒子、原子核、物性といった、個々の領域に的を絞った研究に向かいます。●理工学部 理工学部は理学と工学とを組み合わせて、学際的な研究を行う学部です。理学系の基礎研究による知見にもとづいて、工学系の技術を用いた応用を施し、実学に近づけることを目的としています。 理学部では純粋に数学、物理学、化学などを学問として追究するのに対し、理工学部では理学で得た知識や成果を、製品などを生み出す技術に転換することを視野に入れています。・数学   ・物理学・宇宙・天文学・化学   ・地学関連する学問系統・数学科  ・物理学科・化学科  ・生命科学科・地球科学科 etc.おもな学 科○化学 化学は自然界に存在する膨大な数の物質の構造、性質、反応を研究する学問です。また、化学は自然界に存在しない物質を作り出すことができる唯一の科学でもあります。基本科目には無機化学、有機化学、分析化学、化学熱力学などがあり、専門性が高まるにしたがって実験を行う機会も増えていきます。専門分野に進むと、生化学、量子化学、核・放射線化学など、最先端の研究に取り組むようになります。10おもな理学系学部ミクロの世界から宇宙まで、自然の謎を解明〈SCIENCE〉学問紹介理系の幅広い知識を身につけ自然現象の法則を見つけ出す 「理学」とは数学や物理学、化学などの幅広い分野を統合した、理系分野の基礎を支える学問です。理学系の学部では、高校までに学んだ基礎的な理系科目の理解をさらに深めながら研究していきます。例えば、宇宙の果てがどうなっているのか、光や時間とは何か、といった世の中に存在する不思議を解き明かすことが理学の究極の目的です。 理学は、工学のように、工業製品を開発して暮らしを豊かにするといった、私たちの利益や利便を図ることを直接の目的としてはいません。しかし、理学における基礎研究の発展が、工学やそのほかの学問分野の発展を助け、ひいては私たちの生活を豊かにすることにつながっています。人工衛星やロケットが目的どおり正しく飛行できるのは、物理学の法則にもとづいた計算方法が確立されているためであり、その計算を行うコンピューターも電気的性質の理解があってこそ生まれたものです。コンピューターのディスプレイとして使われる液晶は、化学の基礎研究から開発されています。 このように、理学による基礎研究と工学における応用研究とは、互いが支え合って成立しています。私たちの社会にあふれる製品、インフラ、あるいは形の見えないサービスでさえも、その大元をたどれば、基礎科学のほとんどすべてを研究対象とする理学から生まれているといえます。理学系学部

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