学びのすすめNo4_2025
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教育学系8 教育学とは、現実に生じている教育問題を解決するために、具体的な実践法を常に編み出し、その論理を時代の変化に合わせて進化・更新させていく学問です。今日のように世の中や人々の生活スタイルや価値観の多様化に伴い、教育問題の多くもまた複雑に込み入ります。そういった難問を解決していくためには、あらゆる角度からの立体的な考察が求められます。原則的な教育論はもちろん、学校教育の歴史や、西洋諸国あるいは発展途上国の教育思想にも解決の糸口はあります。さらに社会心理学など、発達過程だけでなく、成長後の集団行動にまで多大な影響を及ぼす分野も教育学の対象になります。教育学を学ぶには、心理を考察する文系的思考、統計を分析する理系的思考が不可欠です。●教育史今日およびさまざまな時代の教育理念やカリキュラムの変遷、さらに古今東西の教育史を対象別に掘り下げて学びます。●国際教育学グローバル化する世界各国の多様な教育理念・実践論を国際的視点から比較検討し、反映すべき分野も探求します。●人間発達学子ども時代の心身の特徴がいかにその後に影響を及ぼすかを統計化し、健全な成長へと導く最適な方法論を探ります。●社会心理学・その他社会における人の行動を分析し、集団を形成する個人のパーソナリティや行動を考察します。おもな専攻カリキュラム●教育史●国際教育学●人間発達学●社会心理学●教育哲学●教育社会学●比較文化学●図書館情報学etc.【資格・進路】学問の追究もよし、企業での応用もよし 教育学を学ぶには、教育系大学や教育分野を含む学部・学科に進学するのが最もオーソドックスです。その後は教員免許を取得したり、公務員を目指したりするのがかつての常道でしたが、世の中が多様化するにつれ、昨今では教育ビジネス業界や出・教育学 ・心理学関連する学問系統・教育学科 ・社会教育学科 ・人間発達学科・人間社会学科 ・こども学科・国際教育学科 ・養護教育学科 etc.おもな学 科●人間環境学部 私たち人間は未来へ向けて、自然環境をはじめとするさまざまな環境といかに持続的に共存し、調和していくかを追究するのがこの人間環境学部です。いわば自然科学、社会科学、人文科学を網羅した新しい学問で、広くは災害、紛争、エネルギーなどの諸問題から、都市化と過疎化、企業と労働者といった社会の格差までがテーマとなります。 他学部との大きな違いは、国内外の学外に研究の場が開かれていること。実際にフィールドワークを体験し、自分の目で見聞しながら、グローカル(グローバル+ローカル)な視野から考察を深めることに重点が置かれています。学生自身の問題意識が多様であるため、就職先が多岐にわたるのもこの学部の特徴です。●国際こども教育学部 近年になってから注目されているのが、まさに今日的とも言えるこの学部です。子どもをめぐる環境が多様化したために、教諭自身もより高度なスキルが求められているのです。英語やITを活用したり、ボランティア活動といった多角的な現場をリードできる外的ノウハウ、あるいは子どもの心身の状態を察したり、保護者とコミュニケーションをとれる内的ノウハウなども備えたいもの。多大な需要に応えられる小学校教諭、幼稚園教諭、保育士は、いわば“21世紀子ども学”の専門家。そんなスペシャリストを目指します。版や放送といったメディア業界に活躍の場を求める人も増えてきました。 もちろん今日でも、教育学をもっと深めたい場合、大学院に進んだり教授を目指したりと研究者・専門家への道もあります。・教員養成・比較教育学〈PEDAGOGY〉学問紹介問題解決には、あらゆる角度、立体的な考察が求められる社会に活かすため、教育の可能性を学ぶおもな教育学系学部●教育学部 幼児期から老年期までの長い歳月、人はいかに生き抜くべきかを探究するのが教育学部です。この世に生を受け、この世を去るまで、人生にはあらゆる問題が起こります。それらを解決し、乗り越えていくための実践的方法論を導き出すのがこの学部のテーマとなります。 子どもが健全に育つためにはどんな幼児教育やしつけが必要か、自我の形成に悩む青年期の若者にはどう向かい合うのがいいのか、社会人として一人前となるまで企業はいかに人材教育を施すのか、そしてリタイアしてからはどのように地域社会と交流していくか、といった現実に直面するように、人はいくつになっても学び続ける必要があります。いわば教育学部とは、学問的なカリキュラムだけにとどまらず、人文科学、社会科学、心理学といった側面まで網羅する総合的な人生学とも言えます。 教育学部には、歴史的に見て二つの大きな傾向があります。小中高を中心とした教員養成に重点を置く国立大学、学問的側面に比重をかける私立大学です。前者は文部科学省のもと教育行政的側面が強く、後者は人文学的側面が濃いのが特徴です。教室で子どもたちに教えたいなら前者、優れた教育はどうあるべきかを研究したいなら後者で学ぶのが理想的かもしれません。また、教育学部は図書館司書、学芸員のほか、昨今需要が増してきた社会福祉士といった福祉関連の資格取得もできます。教育学系

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