学びのすすめNo5_2025
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被服学系7【資格・進路】デザイナー、パタンナーから教員までさまざまな選択が可能ルメーカーでキャリアを積んでいくことに 被服学系では、衣料管理士、中学校・高等なります。アパレルメーカーには、商品開発学校教諭(家庭科)、司書教諭、司書、学芸員をするデザイナーやパタンナー、市場調査などの資格取得が可能です。卒業後はファをもとに商品企画を担当するマーチャンダッションデザイナーやスタイリストとして華イザー、品質管理を担当する衣料管理士、やかな世界で活躍するチャンスもあります店舗での接客・販売を行うファッションアドが、一方で、家庭科の教員などとして就職すバイザー、さらには、プレスとして広報・宣伝る道もあります。などの分野で活躍することも可能です。 一般企業に就職する場合、多くはアパレ●家政学部 家政学は家庭生活を中心とした生活全体について研究する学問です。この家政学の中で、衣食住を構成する「衣」に関わる学問としてあるのが被服学です。「被服学科」は多くの場合、家政学部の中に設けられています。◯被服学科 被服学を学ぶうえで代表的な科目としてまず挙げられるのが、「被服材料学」です。被服には天然素材から化学素材までさまざまな材料が使用されており、それぞれ特徴が異なります。まず被服は何でできているのかから知るのが基本となります。 また、被服が人体にどのような影響を与えるのかを研究するのが、「被服衛生学」です。被服の着心地、機能性、構造を研究し、発汗、体温など人の生理現象との関係を調べ、健康によい影響をもたらす服のあり方について研究します。 被服をどのように管理すべきなのかを知る「被服整理学」という科目もあります。これは被服の「洗濯」「仕上げ」「保管」のほかに、「疲労」「劣化」「機能低下」、性能の「回復改善」「安全性」「環境保全」など、被服の管理学全般を学ぶものです。 さらに、「被服構成学」という科目もあり、被服を作るための用具、基礎縫い、原型補正などを学びます。服飾品の製作に関する理論と技術も学び、体型学から縫製に至るまで、被服製作に関する知識と技術を習得します。 被服学科ではこの四つの科目を中心に学んでいきますが、ほかに被服美学や文化史なども学び、さらに被服製作やパターンメイキングという形で実際に服を作る作業を行います。年次が上がるにつれ実習が増えていき、デザインや制作を学ぶことができます。学びの内容etc.おもな専攻カリキュラム・被服材料学・被服衛生学・被服構成学・被服製作・パターンメイキング・ファッション販売論・ アパレル設計・生産管理論・色彩学・染色加工学・アパレルCAD演習関連する学問系統・服飾・被服学・被服学科 ・服飾学科 ・生活造形学科・ファッションデザイン学科・国際ファッション文化学科・服飾美術学科 ・ファッション社会学科 おもな学 科 美術大学や芸術大学などアーティストやデザイナーを育成することを目的とした大学で、造形美術を学ぶ場として設置されているのが造形学部です。デザイン、造形技術、アートなどを学びます。◯ファッションデザイン学科 造形学部等に設置されている学科として「ファッションデザイン学科」があります。被服学科と同じく被服のデザインや制作について学ぶ学科ですが、こちらは芸術系、デザイン系としての要素が強いといえます。そのため、大きな目的は、デザイン、パターンメイキング、ソーイング技術など衣服のデザインと制作に関する知識と技能を身につけることです。 アパレル素材論、被服人間工学、応用服装史、服飾美学といった理論も学び、コンセプトワークなどデザインを考え出すためのプロセス、テキスタイルや企画の基礎についても研究していきます。 年次が上がると作品を作って発表する機会も増えます。テーマに沿った企画を考え、デザインをして作品を作り、プレゼンテーションをして互いに批評を行うことで、アパレルメーカーでのデザインに近い環境を作り出し、技術を磨いていくことができます。●造形学部、芸術学部、服装学部など「ファッション」を多角的に研究し、人間生活を豊かにする〈TEXTILE AND CLOTHING〉学問紹介縫製技術の習得から販売まで、被服と人間生活の関わりを学ぶ 元来「被服学」は、和服や洋服の縫製技術の習得をおもな目的とするものでした。しかしその後、化学繊維の発達と普及から繊維の素材を研究するための学問分野が広まり、被服材料学が成立します。さらに既製服の普及とともに被服整理学なども重視されるようになり、「オシャレ」や「ファッション」といった側面に重点が置かれるようになりました。実用的であるだけでなく、より時代の価値観、美しさを反映した感度の高い服に憧れるように、社会の豊かさが変遷するにつれ、被服自体の持つ意義や目的が多岐に成熟してきたのです。つまり被服学は、それぞれの時代の人間生活と被服との関わりを、科学や文化、社会経済といった重層的な側面を考察していく学問なのです。 ここでは、まず「造形技術の基本・原則」、次に「ファッションとして表現される服の考え方」、そして「商品としてのファッションの在り方」が主要となります。具体的には、縫製技術やその理論、素材の開発・デザインから、生産、販売、消費に至るまで、被服についてトータルな研究を行います。 被服というとファッション的な派手なイメージが先行してしまいますが、「服を通じて人間生活の歴史を学べる」のがこの学部の醍醐味でもあるのです。おもな被服学系学部被服学系学部

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