学びのすすめNo7_2025
8/90

8● 学びの内容美術・造形系●美術学部 美術学部は、芸術分野のうち美術分野における知識と技術を身につける学部です。 授業では絵画や彫刻などの作品を通じて、自らの感性を磨いていきます。また、過去の芸術作品を生み出してきた多種多様な技術・技法、画材、さらには作品の生み出された時代背景などについて造詣を深め、制作者の視点で研究していきます。そうして得たものは、自分自身の創作表現に活かすことができます。 さらに、デジタル技術など現代のメディアや、インスタレーション(室内や屋外などにオブジェや装置を置き、場所や空間全体を作品として体験させる芸術)といった新しい表現やスタイルについても学ぶことで、表現方法の幅を広げていくことができます。最終的には、過去から現在までの芸術について知識と考察を深め、自身が抱える思いや感情を、「作品」にする技術を身につけていきます。 ここからは、美術・造形分野のなかから、絵画、彫刻、工芸、建築・都市デザイン、写真、映像・映画の分野について、それぞれ説明します。○絵画/彫刻おもな実習内容関連する学問系統・美術学 ・工芸学 ・日本画学科 ・油絵学科・彫刻学科・絵画学科 ・造形学科・工芸学科 ・写真学科 ・映像学科 etc.おもな学 科 ファインアート(日本語の芸術とほぼ同義であり、芸術的価値を専らにする活動や作品を指す概念。美術分野の代表的なアートは絵画・彫刻)の学びは、例えば、光によって導かれる形や動勢、モノの持つ性質を正しく把握することが重要です。デッサンを基本に、人物・石膏像・風景などの表現技法を身につけつつ、美術史などの作品に関する理論も学んでいきます。多角的な学びから、表現することの意味を知り、自らの作品と向き合うことで、自分自身の本質まで見つめていくことになるでしょう。彫刻制作では、多くの素材の扱い方を学ぶことになります。 芸術の世界において、その表現方法はさまざまにありますが、表現し作品を発表することによって、作品を創り出す感性や独創性が磨かれていく点では、ジャンルや分野を問わず共通します。創造の場では、客観的に自身の作品と向き合っていく真摯な姿勢が大切です。○工芸おもな実習内容・デッサン ・素描 ・デザイン作図・グラフィック ・モザイク・溶接 ・各種工芸制作 etc. 絵画や彫刻の制作と同様、基礎表現力はデッサンから始め、次第にオリジナリティ豊かな表現力へとスキルアップを図ります。素材に応じた多様な表現方法も追求していきます。実用品に芸術的な意匠を施し、機能性と美術的な・デッサン ・平面構成 ・模写・立体構成 ・コラージュ ・油絵・細密画  ・リトグラフ(石版画)・版画 ・塑像 ・木彫 ・石彫 etc.・写真学・芸術理論学 etc.〈ART&PLASTIC〉学問紹介美術を生んだ社会について知り、人の内面から湧き出すものを作品に表現する技術を身につける 美術という学問では「美術とは何か」という命題を追及することが目的の一つですが、それには、これまで大量に創作されてきた「作品」を通じて美術の歴史を学び、そして美術を生んだ社会全体に目を向け、社会を知り、研究することが重要です。 しかし、それを自分で「作品」にする技術を持っていなければ、芸術は成立しません。美術・造形という学問分野の特徴は、形のある「作品」が存在することであり、作品を形にするためには技術がいります。 多くの大学の美術系学部では、「デッサン(素描・ドローイング)」を学びます。石膏像・人物・風景・静物などをモチーフにしたデッサンを通じて、表現力の基礎を鍛えていきます。専攻によっては、誰もが知っているような古典作品の模写を行うこともあります。そうやって表現の基礎力が身についたら、分野ごとのさらに高度な表現方法を、実技実習を通じて身につけていくことになります。 また、自分の作品を人前に発表することで、作品と客観的に向き合うことも美術を学ぶうえで大切です。大学や短期大学では、実際に作家として活動している教員や、同じ目標を持った学生が多く、彼らに自分の作品を見てもらい、評価をしてもらうことで、自分に足りなかったものや、自分の長所など貴重な気づきを得られることでしょう。同じ興味や目標を持った仲間たちとともに学生生活を過ごしていくなかで、たくさんの刺激を受けることにもつながります。芸術的価値を追究し、作家の個性による創造性を発揮するおもな美術・造形系学部美術・造形系学部

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る