8プライマリ・ケアに対するニーズが高まる医学系 医学は、人間の身体や精神の病気と、その治療法について学ぶ学問です。健康相談から緊急対応まで幅広く医療行為をする「プライマリ・ケア」が求められている昨今、総合医となる人材の必要性が高まっています。医学系では、人々が健康を維持できるように、患者としっかり向き合って抱える苦痛を取り除き、身体の健康と密接に関わるメンタル面にも精通した医師の育成が行われています。 全人的医療(総合的な疾病予防や診断・治療を行う医療)を実践するためには、医学に関する高度で広範な専門知識や技術の修得はもちろんですが、豊かな教養や人間性が求められています。etc.【資格・進路】卒業後は医師、研究者、海外で活躍する国際人も目指せる 医学系の卒業後、医師になるためには、師としての道ばかりでなく、大学や民間の国家試験に合格して医師免許を取得後、2研究機関に就職して研究者を目指す人、厚年以上の医師臨床研修を受ける必要があり生労働省などの国の機関で医療行政や公衆ます。その後、さらに専門分野で3年以上衛生に関わる人、あるいは、発展途上国への研修をすると、専門医資格を得られます。の医療派遣団や国際ボランティアの一員と また、最近では、患者を直接診察する医して海外で活躍する人も増えています。●医学部 生命の尊厳を理解し、医療人としての人間性を身につけ、医学の専門知識・技能を生涯にわたって維持・向上できるように学修していきます。国内の医療だけでなく、国際的な視野に立って医学や医療の発展に貢献し、地域医療の社会的ニーズにも対応できる医療人となることを目標としています。○基礎医学 「解剖学」「生理学」「病理学」「生化学」「薬理学」「微生物学」など、人体の基本的な構造と機能を理解し、病気の原因と病態の解明を中心に学びます。○臨床医学 人体の臓器・組織の病気と病状を学び、薬剤を中心とした治療を学ぶ「内科学」、手術による治療を学ぶ「外科学」、放射線療法を学ぶ「放射線治療学」などを学修します。○社会医学 病気の予防を目的として「法医学」や「予防医学」などを学び、「環境医学」「公衆衛生学」や「地域医療学」についての知識も身につけます。また、医療に欠かせないコミュニケーションスキルを、学生同士の演習や模擬患者を相手にした実習で学びます。さらに、医師と医療専門職が協力するチーム医療についても学び、医療系の他学部・学科との合同実習を行う大学もあります。■一般的なカリキュラムの進行について 主な専攻カリキュラムの「基礎医学」「臨床医学」「社会医学」ですが、最近ではこれらを融合した医学としてのカリ・医学部・医学群・医薬保健学域おもな学 部・医学科・生命医科学科・医学類おもな学 科キュラムが組まれるケースが増えています。カリキュラムの流れは大学ごとに異なる場合もありますが、ここでは一般的なケースについて紹介します。 モチベーションの向上を目的とした、早期体験実習を取り入れる大学が一般的になってきました。基礎医学と臨床医学を組み合わせたカリキュラムは、1~4年次を通して行われるケースが多く、消化器疾患を例にすると、消化器の「解剖学」「生理学」「生化学」を学修した後、病気の診察・診断補助検査、薬物治療、外科治療などを系統的に学修する、という流れになります。 診療・診察の基本的手技は4年次に、直接患者と向き合う臨床実習は4~6年次に行うのが一般的です。実習では、低学年ですべての診療科を回って基本的なことを学んだ後、高学年では診療科の医療チームの一員として、上級指導医師と診療にあたるケースがほとんどです。●医学群 医学部が最初から専門的に独立した組織(学部)であるのに対し、医学群は複数の学部を融合させた体制です。医学部と比較して、より多様な学問を学ぶ傾向にあります。●医薬保健学域 「医学」や「薬学」、「創薬科学」、「保健学」などの、医療に関連したあらゆる学科が集まっています。医師だけでなく、薬剤の研究・開発をしたい人、保健学で健康について研究したい人にも向いています。etc.おもな専攻カリキュラム・基礎医学・社会医学・臨床医学〈medicine〉学問紹介患者と向き合って、身体・精神の病気治療に取り組むおもな医学系学部医学系学部
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