学びのすすめNo8_2025
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9ITも活用できる歯科医師の育成を目指して 歯学系では、歯や歯周組織の疾患など、口腔内の健康を維持するための知識や技術を身につけます。顎や顔面といった口腔周囲の部位における異常の原因や、その治療法を学ぶことも歯学の範囲です。患者の「QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生命・生活の質)の向上」にも深く関わる分野です。 大学によってカリキュラムは異なりますが、一般的な流れとしては、まず、歯学概論・生物学・物理学・数学などの自然科学分野の基礎と教養科目を学びます。続いて、口腔解剖学・生化学など、基礎歯科分野と診断・治療の基礎となる歯学専門科目を段階的に学びます。高学年になると、大学附属の歯科病院で臨床実習において診療・診療補助・口腔衛生指導などの知識を身につけ、最終的には歯科医師国家試験に臨みます。【資格・進路】国家試験合格後、研修を経て歯科医として活躍 歯科医師国家試験は卒業直前に行われ、合格すると1年以上の臨床研修期間に入ります。研修は大学附属病院・歯科診療所などで受けることが可能です。研修終了後の進路は主に、病院・診療所の勤務医や専修歯科医になる道と、大学院へ進学する道etc.の2つです。 卒業後すぐに歯科医になるケースが大半ですが、大学院での研究を希望する学生も多くなってきています。これは、科学の発展と高度な歯科医療に対応するため、大学院教育に力を入れる大学が増えているため●歯学部 歯科医療に関する知識と技術を学び、幅広い教養も身につけ、人々の健康の維持と増進に貢献できる力を養います。 また、口腔・顎・顔面領域の疾患予防や診断、治療に関する専門的知識と技術の向上も目指します。最近では歯を美しく見せる技術(ホワイトニングやインプラント)も進んでおり、「歯科用CT(X線診断装置)」や「歯科用レーザー」などの最新医療機器にも対応していく必要があります。 地域の歯科医療はもちろん、国際的な歯科医療への探求心も身につけ、幅広いフィールドで活躍できる歯科医師になることが目標です。○口腔生理学 口腔内は、食べ物を噛み、味わい、唾液を分泌し、食べ物を飲み込むなどの役割を担っています。この口腔機能のメカニズムを明らかにするために、関与する口腔・顎・顔面の神経系の解析を行います。○口腔解剖学 医学・歯学の最も基礎となる学問です。人体の構造を肉眼的かつ顕微的に学ぶことで、構造と機能の関連性を理解します。とくに、ご遺体を用いた人体解剖学実習は、講義や教科書からだけでは得ることのできない、人体構造の巧妙さや複雑さを知る重要な機会です。 また、全身構造の学修に続けて顎顔面口腔や歯の形態について学ぶことで、よりいっそう専門性を深め、身体全体の健康に関わる歯科医療を実践するた・歯学部・生命歯学部・口腔歯学部おもな学 部・歯学科・口腔健康科学科・口腔歯学科おもな学 科めの、知識と技能を身につけることができます。○口腔微生物学 口腔微生物学の講義・実習では、微生物学全般の知識と同時に、身体の免疫系についての知識を身につけます。歯学領域の2大疾患である「虫歯」と「歯周病」はいずれも感染症であることから、歯学部では微生物学を重点的に学修します。口腔内の微生物は血流や気道などを通じて全身へ波及することから、口腔内で起こっている感染症だけでなく、全身の症状を考えながら対処できるようにすることが最初の目標です。 また、微生物学的知識に加えて、身体の免疫応答を学ぶことで、私たちの身体がどのように微生物に対抗し、健康な状態を保っているのかについて学びます。最終的には、最先端の微生物学・免疫学の学修を通じて、次世代の歯科医療へ対応できる歯科医師を目指します。○口腔外科学 口腔外科学は、口腔顎顔面外科学や口腔病態外科学などに分かれており、先天異常・炎症・腫瘍などの病態から発生する疾患について学びます。また、消化器・感覚器・呼吸器としての機能を担う口腔の、健康な状態を維持するケア方法や治療法を身につけます。 さらに、実験を通して、診断・治療に必要な実践的知識や理解を深めます。歯学だけでなく、医学全般の知識も必要な学問です。です。大学院を修了して歯学博士となった場合は、先端歯科医学の理解・探究とともに大学の歯学部での教育・研究指導や、附属病院で高度医療に携わります。また、国際歯科医療に貢献するため、海外への留学を選択することも可能です。etc.おもな専攻カリキュラム・歯科医学・口腔生理学・口腔解剖学・臨床歯科医学・口腔外科学・口腔微生物学〈dentistry〉学問紹介口の健康管理で、全身の健康を守るおもな歯学系学部歯学系学部

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