24保育の現場を支える人たち待機児童数は減少傾向の一方、「隠れ待機児童」の解消も課題 現在、就学前の乳幼児が家庭以外で過ごす場所は、大きく保育所と幼稚園に分けられます。 保育所は、厚生労働省所管の福祉施設で、日中の乳幼児の保育を保護者に代わって行います。一方の幼稚園は、文部科学省所管の教育機関で、遊びや音楽、絵画や運動を通して、3歳以上の幼児を教育・保育します。 女性の社会進出が盛んになり、現在、共働きの世帯が急増しており、保育所の入所希望は増加し続けています。特に都市部では顕著で、各自治体は「待機児童ゼロ」を掲げてさまざまな政策を打ち立てています。 逆に幼稚園に関しては、保育所が一日約8時間の保育時間を実施するのに対して、4時間を標準としていますので、世相を反映した結果として、定員割れする公立幼稚園も目立ってきました。 そこで、国は2006(平成18)年から、幼稚園と保育所の機能を統合した「認定こども園」の制度をスタートさせました。 内閣府による調査によれば、認定こども園は2022(令和4)年4月1日時点で9,220カ所となり、2021(令和3)年4月時点から約635カ所増えています。急速に増加している分、保育士の不足も問題視されています。また、認定こども園では保育士・幼稚園教諭の両資格が必要であり、経過措置などによって、現在はいずれかを有していれば保育教諭として働けますが、2025年(令和7年)以降は、両資格を所持している必要があります。 ともあれこうした状況や、待機児童解消を目的に国が発表した「子育て安心プラン」などを受け、2023年時点で待機児童数は以前より減少傾向にあります。ですが、それ以外にも保育施設を利用できていない「隠れ待機児童」がまだ数多くいると見られており、引き続き対策が求められます。初任給例活躍の場関連資格□保育所 □幼稚園 □認定こども園□児童施設 □家庭保育(ベビーシッターなど)●保育士 ●幼稚園教諭免許状●社会福祉主事任用資格●児童の遊びを指導する者 etc.約20.2万円〜25.3万円(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)※大卒/専門卒対象「こども家庭庁」発足によって保育現場への影響は?2023年4月、国の新たな行政機関として「こども家庭庁」が発足しました。この省庁は現代日本の家庭や子育てにおけるさまざまな問題の解決を目的としており、保育の現場に対しても、労働環境の改善や人材確保といった施策が期待されています。また、保育園と幼稚園の扱いを一本化する「幼保一元化」もその一環ですが、現時点では保育所と認定こども園が同庁の管轄下となるにとどまり、完全な幼保一元化は見送られた形です。保育の現場を支える人たちどうなる?「幼保一元化」増加続ける認定こども園2025年からは保育士と幼稚園教諭の両資格が必要にお役立ちDATA
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