つくにはBooksNo8_2025
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Special interview ★ Shinobu Abe専門校で技術を学び素直な心で仕事に取り組むギター製造・リペア技術を学べる専門校は決して多くないので、興味のある人は学校にも注目してもらいたいです。職人は「素直であること」が最も求められます。新たな知識や技術を吸収し、考え方をアップデートできる柔軟さがあれば、先輩からも可愛がられます。信念だけで成功できる人は一握りだと思います。ギター技術に興味のある高校生へメッセージ「ギターリペアは無料サービス」からビジネスとして拠点づくりと人材育成に着手 当社では長い間「楽器リペアはサービス」という考えから、お客様に修理料金を頂戴する仕組みがありませんでした。代官山の修理拠点にも技術者が増えて手狭になったこともあり、新たに修理工房を立ち上げて、ギターリペアをビジネスとして事業展開することを会社に提案しました。工房の物件探しから移転の手配など、リペア職人からプレイングマネージャーへ役割が変わり、その後は2015年に当社初・西の拠点として名古屋に修理工房を立ち上げました。現在の浅草橋の工房は2020年夏に拡張のために移転、コロナ禍で撤退する企業の多い中でも職人を採用して順調にリペア事業を拡げていきました。音楽のトータルサポートで日本の「コト消費」をリードする 10名足らずでスタートしたギターリペア工房も、現在は全国11拠点、管楽器や弦楽器も含めると約150名のリペア職人が活躍しています。当社は楽器を売るだけでなく、音楽教室やライブコンテスト、リペア事業など音楽をトータルでサポートする企業へと進化しています。「楽器を購入しても続かない」という人は野県の提携工場で2年間、島村楽器の社員のまま修業の機会に恵まれました。ギタークラフトの工場ラインに入って全工程を回り、同じギターを作っているのに、海外と日本では何が違うのか?を体感する貴重な経験となりました。多く、楽器を楽しむ人を一人でも増やしたい、そのための施策を展開しています。初代社長は十数年前から「モノを売る前にコトを売れ」と常に発言していました。今日の国を挙げた「コト消費」推進に先んじて、全社で取り組んでいるのです。 今はマネジメント業務が増え、部下の方がギターリペアの腕が上がっていると思います。20代に採用した社員が30過ぎて結婚するなど、部下の人生の成長を見守るのも嬉しい立場になりました。島村楽器は「挑戦をさせてくれる会社」です。身近に音楽がある毎日は、とても充実しています。

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