つくにはBooksNo9_2025
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?どんな?つくには?つくには?どんな菓子・パン・飲み物を作る人たち41大学などで醸造技術を学ぶことも可能 酒造メーカーに就職します。酒蔵は47都道府県にありますが、その規模はさまざまです。酒蔵の多い県は新潟、長野、兵庫などが上位を占めます。必須ではありませんが、大学などで醸造技術を学ぶと就職には有利のようです。酒造メーカーの中には杜氏の制度を廃止し、醸造技術を修得した社員が科学的に品質を管理して量産に成功した会社もあるなど、日本酒の製造にも近代化の波が押し寄せています。環太平洋パートナーシップ(TPP)協定により、日本酒の輸出関税が撤廃され、和食とともに日本酒を主要輸出品として政府も力を入れていますので、今後の動向が気になるところです。関連学科科 など調理師科、調理師学科、シェフ学科農芸化学科、発酵工学科、醸造科学仕事仕事農園から仕入れた「荒茶」から美味しいお茶の味を「つくる」 煎茶や抹茶などの日本茶は、収穫した茶葉を蒸して乾燥させた「荒茶」を茎や葉などに選別し、焙煎(火入れ)して味を調え、さらには産地の異なる茶葉をブレンドするなどの工程を経て完成させます。デリケートな性質を持つ茶葉は、同じものでもその作業工程によって独特の甘みや渋み、苦みや風味などが大きく変わるので、飲む季節や菓子原料などの用途など、好みの味になるよう自在に調整していくことができる食材です。茶葉の収穫から荒茶までの作業は茶農園が行いますが、荒茶を仕入れて日本茶に製造するのは製茶会社が行います。製茶会社では茶師(火入れ師)という専門職が、味作りから仕上げまでを行います。製茶会社で技術を修得する 製茶会社に入社して製造部門で経験を積みます。製茶会社は緑茶の生産地の静岡をはじめ近畿や九州、関東にもあります。会社の規模によって茶師の人数は異なりますが、各会社の味を守ってきたベテランに若手が加わり、伝承していく方法をとっている場合が多いようです。原料の茶葉は毎年変わるため、経験が重んじられる仕事ですが、近年は「同一荒茶火入競技会」など業界をあげて若手の茶師が力を付ける機会を設けています。和食料理の経験者が若くして活躍するなど、必須ではありませんが味作りには調理専門学校での学びも活かせるでしょう。関連学科日本料理コース など造体制に移行、または伝統製法と両輪で製造を行う酒蔵もあります。茶師(火入れ師)杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)・酒造技術者蔵元で日本酒を製造 日本酒を製造する蔵元で働く人を蔵人、最高責任者を杜氏といいます。杜氏は蔵内の管理から製造工程のすべてを指揮し、目を配ります。杜氏のもとで働く蔵人は10名ほどで、それぞれの作業で担当に分かれます。江戸時代から続く寒造りとよばれる製造工程では、毎年11月から翌年4月まで酒蔵に入り、製造作業を行います。かつての杜氏や蔵人は故郷で農業や漁業にも従事しており、農閑期に酒造りのため全国から蔵元へ集まりましたが、近年では酒造メーカーの社員として勤務し、通年で作業を行う体制をとる会社も増えました。杜氏の高齢化など、伝統技術の継承が課題とされますが、大学や農業高校などで醸造技術を学んだ若者が入社するようになり、近代的な製海外でも緑茶ブーム 茶葉を日本茶に仕上げる専門職日本酒作りの伝統技術者

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