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ポートフォリオ制作方法

第2部

4.ワークフローと詳細について①
(1)作る目的の確認
(2)作品の選択
(3)装丁を決定する
(4)構成を決定する
(5)画像素材やキャプションの決定

4.ワークフローと詳細について①

(1)作る目的の確認

「なぜ時間や手間をかけて、ポートフォリオを作らなければならないか?」初めてのポートフォリオ制作では、目的をしっかりと認識することが重要です。どのようにしたら自分を効果的にアピールすることができるか、まずは自分自身の分析から始めましょう。

自分自身を知るためには、自分の気持ちを言葉にして書き出すことが大切です。言葉にうまく表すことができないものは、情熱が薄いか、他人に伝わるレベルまで深く考えられていないということです。後々ポートフォリオ制作も難しくなってしまいます。以下の項目を参考に、自分自身について分析してみましょう。

  • 好きなこと、関心を持っていることは何か
  • 今までで一番楽しかったことは何か
  • 今までで一番辛かったことは何か
  • 誰にも負けない自信があることは何か
  • 尊敬している人、モデルパーソンは誰か
  • こだわっていることは何か
  • もしも研究者になるなら、どんな分野について研究したいか
  • 深く印象に残っている言葉は何か
  • 将来実現させたいことは何か
  • どんな大人になりたいか
  • 夢のために今の自分に不足していることは何か
  • 成長するためにどんな経験を得たいか
  • 現在の自分にはどんなことができるか
  • 大学や学部で学びたいことは何か
  • 目標達成のために、どんな努力と苦労をするか

将来へのイメージがうまくできない人は過去に遡ってどんなことに関心があったか、何に対して積極的に活動していたかなどを振り返り、過去から現在まで継続していること、継続させていきたいことを考えてみましょう。

メモがいっぱいになるくらいまで書き出せたら、学校や学部の募集要項や「大学が求める学生像」などをよく読み、自分のやりたいことと照らし合わせていきます。マッチした学校、学部を見つけることができたら、自己PRにできそうな素材をメモの中からピックアップし、ポートフォリオのテーマを決定していきます。

ポートフォリオ制作の最大の目的は、筆記試験では知ることができない将来の夢や可能性、世界観をアピールすることです。そのため、学校の課題を羅列しただけのポートフォリオは、その他大勢との差別化が難しくなってしまい個人の良さが埋もれてしまうだけでなく、カタログ的な魅力の少ないものになってしまいます。「自分の世界」をどれほど充実させることができるかどうかがカギになります。

(2)作品の選択

過去に制作した作品をまとめて、ポートフォリオに載せるのにふさわしい作品を選びます。多くの場合、掲載するものは自由に選択することができるため、自分が主張したい事柄に合わせて作品を厳選します(学部、学科によってはデッサンやデジタルメディアなど、掲載内容に指定があるためよく確認しましょう)。例えば、オリジナリティをアピールしたいなら自主制作作品をトップページに持ってきたり、観察力をアピールしたいならラフスケッチやデッサンなどを多めに選んだりします。

(3)装丁を決定する

A4サイズのクリアファイルでまとめるのが一般的です。但し、ポケット数が余ってしまうと見栄えが悪くなるため、作品数を考慮して購入しましょう。ポケット数が増減できるタイプを購入すれば調整できますが、リング数が少ないファイルは中身がズレて安定しないので、穴が多いものを選んだほうがよいでしょう。

上級編「製本してみよう」

製本には時間や費用がかかりますが、他人にはない自分だけのオリジナリティや個性、モノづくりへのこだわりを表現することができます。「将来は書籍関連の仕事に就きたい」「エディトリアルデザインに興味がある」そんな人は積極的に製本に挑戦してみましょう。製本で提出したいけど時間がない人は、専門の会社に製本を依頼することもできます。費用が発生するデメリットがありますが、短時間で仕上がりの高い製本を準備することができます。

参考.装丁を手掛ける主な会社
株式会社ブックフロント「製本直送.com」 http://www.seichoku.com/
株式会社デジカル「Isshiki」 https://www.digical.co.jp/
キンコーズ・ジャパン株式会社 https://www.kinkos.co.jp/
株式会社プリントパック https://www.printpac.co.jp/
株式会社グラフィック https://www.graphic.jp/

(4)構成を決定する

厳選した作品の掲載順を決め、見せ方を考えます。例えば、自主制作や学校の課題以外の作品を前半に配置すると、創意意欲や経験値の高さをアピールすることができます。

例.ページ構成案

ページ 内容
表1 表紙
表2 表紙の裏
1
2 自己紹介
3 目次
4~9 水彩画(自主制作)
10~13 水彩画(学校の課題以外の作品)
14~17 油彩画(自主制作)
18~20 油彩画(学校の課題以外の作品)
21 アクリル画(自主制作)
22 受賞作品
23~25 デッサン、クロッキー
表3 裏表紙の裏
表4 裏表紙

(5)画像素材やキャプションの決定

画像素材、キャプションは装飾の1つです。多すぎると作品の印象が変化する危険性があるため、注意しましょう。

<画像素材>
画像素材は、目次や作品のカテゴリ分けのタグ、ノンブル(ページ数)などを装飾したり、ページの余白などに配置したりして見栄えを良くする役割があります。主張したいテーマに応じて種類やデザイン、量などを考え、バランスよく配置しましょう。

<キャプション>
作品に対する説明文のことです。正確さ、分かりやすさを意識して長くなり過ぎないようにまとめます。特に伝えたいことを見出しにし、大きな文字サイズで見やすくするなどの工夫も大切です。共同制作した作品を掲載する場合は、自分が担当した箇所を明確に伝えることを忘れないようにしましょう。

また、作品に対して「どれだけの愛情を注いだか?」を細かく書く人もいますが、それはキャプション全体の一割程度で十分です。特別お気に入りの作品がある場合は、制作過程のラフスケッチや、没になってしまったパターンを並べて掲載するという方法があります。制作過程や背景を、関連作品を通して説明することができるため、文章よりも説得力が増す可能性があります。

例.キャプション

20XX年の7月に開催された「第○○回東京都公立高校美術コンテスト」に△△高等学校3年の代表として作品を制作、出展しました。最終日には展示作品3000点の中から、審査員長賞に選ばれました。

東大寺南大門の金剛力士像をテーマにしました。眼球に白い光の筋を入れ、睨んでいる様子を表現しました。古典的な雰囲気を出すために、全体的にくすんだ色の絵の具を使用しました。

画材:鉛筆、油彩絵の具
サイズ:841×1,189mm
制作期間:1ヵ月(20XX年5月~6月)

第3部

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