衣食住の基本と、豊かな実生活を学ぶ
衣食住など社会、個人、家庭におけるさまざまな生活形態を、検証・分析する学問です。消費者・生活者の視点から、より豊かな暮らしを目指します。被服学は被服と人間生活のかかわりを学び、縫製技術の理解から流通まで、さまざまな側面から被服を考察していく学問です。食物学・栄養学では、「食」を総合的に学び、心身ともに健康に過ごすために栄養と健康の関係を研究します。住居学では生活や暮らしの視点から快適な「住居」と「環境」を考えます。そのほか、児童学や家族社会学、生活環境学、美容学など多様な分野があります。
被服学系学科
元来「被服学」は和服や洋服の縫製技術の習得がおもな目的でしたが、化学繊維の発達と普及から、繊維の素材を研究する被服材料学が生まれました。さらに縫製や人間工学、環境との関係性から被服構成学に発展し、既製服の普及とともにファッションなどの側面にも重点が置かれるようになりました。つまり被服学は、それぞれの時代の人間生活と被服とのかかわりを、科学や文化、環境、社会経済といった重層的な側面から考察していく学問です。具体的には、縫製技術やその理論、素材の開発・デザインから、生産、販売、消費に至るまで、被服についてトータルな研究を行います。
服飾・被服学
企画、縫製から販売まで、また素材から歴史まで、被服のすべてを学びます。
食物学・栄養学系学科
食物学は、食物や食品を科学的な視点から読み解く総合的な学問です。食品学、調理学、食品加工学、食文化学などを含み、栄養学もそのひとつです。実験や演習で食材の成分や栄養について調べるので、理学系の知識も必要になります。栄養学では、食物や食品に含まれる栄養素について研究し、体への影響を学びます。食と健康の関係について考えることが大きなテーマです。「管理栄養士養成施設」に指定されている4年制大学か専門学校(4年制)専攻カリキュラムをとれば、卒業と同時に栄養士免許と管理栄養士国家試験受験資格を取得できます。
食物学・栄養学
食と健康を素材と栄養価から追究し、老化や病気から人間の身体を守ります。
美容学・生活科学系学科
美容学は、美容にまつわる技術だけでなく、経営マネジメントや美容心理学なども学びます。美容に関わる仕事は、顧客とマンツーマンで接する機会も多く、コミュニケーション能力が重要です。また、生活科学系は、家庭生活における人間関係や衣食住、生活環境が人間に与える影響を考え、より快適な生活の創造をめざす学問です。
美容学
人間本来の美しさを引き出し、健康的な生活を研究します。
生活科学
生活におけるコミュニケーション、衣食住、生活環境が人間に及ぼす影響を追究します。
住居学系学科
住居の設計・建築に関する学問には、工学系の建築学と家政学系の住居学とがあります。建築学が、構造力学や建築理論に基づいて、コストを抑えながらも耐久性などに優れた住居について研究するのに対し、住居学では、生活や暮らしといったソフトウェアをベースとして、建物というハードウェアを考えます。生活者の目線から、住む人にとって快適で安全な住宅とはなにかという問題を研究していきます。住居学には住生活、住居意匠、住居管理、生活環境などの研究分野があります。インテリアをはじめ、アパレルデザインをトータルに学べる学科もあります。
住居学
快適な住まいと、気象・環境・安全に即した住環境を提案する学問です。
家政・生活学系統の特性
被服学系の卒業生が多く進むアパレルメーカーは、素材から生産、消費と、サプライチェーンが世界に広がる傾向があります。それだけに、国際的な原材料費の高騰や産業の盛衰に大きな影響を受けます。とはいえ、いつの時代も衣料品が必需品であることに変わりありません。流動する要素に左右されない企業独自の強みを身につけていくことが期待されます。
食物学系や栄養学系では昨今の健康志向ブームで、管理栄養士や栄養士など栄養の専門家が活躍する場が増えています。学校や福祉施設以外にも、調剤薬局やスポーツクラブ、美容分野などで「栄養カウンセリング」として働く機会があります。社会の高齢化もあり、食物学・栄養学へのニーズがさらに高まると考えられています。住居学系を卒業した後は、二級建築士やマンションリフォームマネージャー、インテリアプランナー、インテリアコーディーネーターの資格取得の道があります。近年、高齢化に向けたバリアフリーや、空き家の古民家再生などリフォーム業界は注目を集めているので、今後も需要があると思われます。
家政・生活学系統の就職先例
服飾・被服学
アパレルメーカー(デザイン・パタンナー・マーチャンダイザー・営業職)、素材メーカー
食物学・栄養学
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、食品メーカー、福祉施設、製薬メーカー
美容学
美容サロン、ネイルサロン、エステサロン、化粧品メーカー
生活科学
食品メーカー、保険会社、公務員、デベロッパー
住居学
建築・空間デザイナー、インテリアコーディネーター