文学・歴史学・心理学・人間学等の学問を総合して、人文科学系統といいます。人文科学は、歴史・文学を掘り下げ人間の精神生活や精神文化を探求する学問です。地球に人類が誕生してから現代まで、私たちは世界のさまざまな地域で、多種多様な文化を築いてきました。その悠久の時間に積み重ねられた文化を研究する人文科学は、壮大なロマンのある学問といえるでしょう。経済学や経営学のような実学に比べると職業に直接つながる学問ではないかもしれませんが、歴史や文化への深い理解は、心豊かな生き方へとつながります。
文学系学部では、主に国内外の文学とその背景となる文化について学びます。日本文学は日本の伝承物語、短歌、小説、詩、戯曲などの文学作品を通して、作品の時代背景や作家の経歴などから、精神性や民族性、作品のテーマなどを学びます。外国文学は各国の物語、児童文学、詩、神話などを研究対象として、作品の深みや作者の意図を紐解いていく学問です。表現の技法・読解法を学びつつ、人生を見つめ、社会や人間に対する考え方を養います。
古代から近世、現代にいたるまでの文学作品の中から、日本の文化的背景を探ります。
各国の児童文学、小説や詩、戯曲、神話などを研究対象として、異文化の意識・考え方に触れます。
歴史学では、現代につながる人類の歩みを様々な角度から検証します。人類の転換点となる大きなできごとをはじめ、人々の生活や社会の状況などを分析し、それぞれの事柄の関連性や現代における意味などを考察します。地理学では、世界の国や地域に暮らす人々の生活・文化・社会・経済などを、その地域と関連づけて研究します。過去と現在の地図や土地に関する記述を比較して歴史を探る「歴史地理学」や、都市の発達を研究する「都市地理学」などを含む「人文地理学」と、自然環境の側面を重視して研究する「自然地理学」に大別できます。
文化や生活、戦争や政治の変化を通して、人類の歩みを追究し歴史を紐解きます。
人類が歩んできた痕跡・遺産から、歴史・文化について推測する学問です。
地形や環境から、歴史・文化・生活の風土を探ります。政治や民族に直結することまで研究する場合も。
心理学は、人間の心と体のメカニズムを解明する学問です。目に見えない心について、目に見える行動や反応をもとに実験や観察をおこない、科学的に分析します。社会状況や人間関係が複雑化した現在、心の研究の重要度は高まっています。そのため、多くの大学で関連学科が新設されています。人間学は、人間の内面や身体面だけではなく、人間を取り巻く社会的環境や自然環境など外部との関係も含め、総合的に人間を研究する学問です。研究の分野や内容は多岐にわたります。
行動や反応を元に実験や観察を重ね、人間の心と体のメカニズムを解明する。
世界、あるいは地域の風俗・慣習を学び、文化の発祥や変化について研究する。
人間の根源的な意識・思考を追究し、本質や心理を探究する。
人間の本質を、内面の心理、思想、更に社会環境・自然環境も含めて、総合的に研究する。
出版や広告、放送など、人に伝える業界が人気です。また、それだけでなく商品の売り方や宣伝などを考えるマーケティングの仕事も人気です。文化や文学を学ぶといった性格上、発信の仕方や人間の内面に訴える仕事が向いています。さらに、最近は「公認心理師」「臨床心理士」など、メンタルヘルス分野での職域が広がっています。
マスコミ(出版・放送)、マーケティング、教員、図書館司書
マスコミ(新聞・放送)、教員、学芸員、公務員(地域振興・海外交流)
マスコミ(出版)、広告、メンタルヘルス、児童福祉
