ちょっと役立つ進路の話

将来を見越した、歯科衛生士の「仕事選び」

供給過剰と言われる歯科業界で、歯科衛生士の勝算は?

歯科衛生士

転機を迎える業界で、生き残るのはニーズの把握
1960年代から1970年代にかけ、団塊ジュニア世代の口腔内疾患多発を背景に、歯学部など歯科系の学校が大増加しました。その数なんと4倍。また政府も歯科診療を重視するため診療報酬の改定を行っています。そのため、約50年間に渡って大量の歯科医師を生み出し続けました。しかも令和に入ってもそのペースが持続し開業する歯科医師も増えた結果、コンビニエンスストア55000軒に対して歯科医院70000軒と、非常な供給過剰と過当競争の状態に陥りました。
現在は街の歯医者さんから歯科医療法人まで、様々な歯科医院が存在しています。また歯科医院が増加すると、そこで雇用する歯科衛生士のニーズも増えるため、歯科衛生士の人手不足も発生し、引く手あまたの状態になっています。
しかし過当競争が要因で発生する人手不足が、将来に渡って続くとは思えません。実際に虫歯予防の重要な顧客とされる幼年層は少子化により減りつつあり、後継者不足に陥ったり採算割れが続いている街の歯医者さん=小規模歯科医院の廃業は増えてきています。このままでは業界全体は縮小に向かいます。 

では歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士など、歯科業界は先のない職業なのでしょうか? 答えは「No」です。
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「少子高齢化」が生み出す、新しいニーズ

超高齢化時代の予防治療
超高齢化時代が到来し、高齢者の歯科診療が重要視される時代になっています。治療対象が、子どもの虫歯から高齢者の歯科疾患に移行しつつあるのです。
特に歯周病は高齢者の大敵。咀嚼機能や嚥下機能といった口腔の機能低下を招き、健康状態の悪化を招きます。また糖尿病や腎疾患、心臓病との深い関係も存在します。高齢者の健康維持には予防治療が不可欠というわけです。
(出典:口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連【厚生労働省・eヘルスネット】)
また、生活習慣病予防は若年層にも関心が広がっており、特に上記のような歯周病治療は若い世代にもかなり浸透しています。厚労省のデータによると、20歳以上の半数以上が何らかの歯科検診を受けています。

訪問診療と介護ニーズ
また上記のように超高齢化社会が進んでいる現代では、歯科でも訪問歯科診療が進んできています。在宅ケアの一環として口腔内の衛生状態を保つため、定期的な歯科診療が行われ始めています。さらに介護施設なども歯科衛生士の雇用が目立って増えています。こうしたことから、高齢者の口腔内の衛生管理が重視されていることを反映しており、今後高齢者向けのニーズはどんどん増加することが考えられます。
特に歯科医学に対する知見を持った歯科衛生士は、今後も雇用増が期待できます。
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美容術と歯科の関係

伸長する審美歯科業界
さらに近年、大きな市場拡大をみせているのは美容業界。医療の分野では特に美容整形の安全性や手軽さが高まり、施術を受ける人も増えました。歯科医療の世界でもホワイトニングなどの審美歯科の市場が拡大しています。整った口周りは衛生的・健康的な面での美しさを強調します。
特に「歯列矯正」や「インプラント」などの補綴矯正は、美容の面だけでなく口腔内の健康維持にも効果があり、かなり一般化してきています。この分野は今後も非常に大きな伸びしろがあり、審美歯科をメインとする歯科医院は、歯科衛生士の就職先としても大きな魅力を秘めています。

歯科業界の未来

慎重な仕事選びが将来を決める
このように、歯科医院が過当競争気味になる一方、社会における歯科医療の価値は多様化し、市場も拡大しています。歯科医院の経営が、従来型の固定客・リピーターを待つ「街の歯医者さん」の経営から、有望な市場を見つけ、積極的に食い込んでいく経営に変化しているのです。
こうしたことから、歯科衛生士を志望する若い学生さんも、幅広い視野で将来性のある就職先をみつけることが重要となっています。

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