STEP.1 小論文の考え方を理解しよう
1. 小論文とは
小論文とは、出題されたテーマに対する書き手の考え(= 主張)を、読み手が納得できるように説明する文章です。主張を述べるためには、なぜそう考えるのか、なぜそれが正しいと判断したのか、具体的な事実や情報(= 根拠)を挙げながら説明しなくてはなりません。
原則的に、小論文に絶対の正解はありません。そのため、主張の内容自体は自由です。しかし、主張と根拠が適切に組み合わされていて、説得力のある内容になっているかは評価の対象になります。正確な事実に基づいた根拠が多く挙げられているほど、主張の説得力は高まります。一方で、根拠が不足していたり、事実かどうか曖昧であったりすれば、読み手が納得する主張を述べることは難しくなります。
2. 説得力を高めるポイント
それでは、説得力を高めるためには何が必要でしょうか。ここでは「客観」と「論理」という、(一見、難しく思われがちな)2つのポイントから見ていくことにしましょう。
- 客観的に述べているか
- 論理的に述べているか
1客観的に述べているか
小論文では、「客観的に」であるかがよく問われます。「客観的」とは何か、その対義語とされる「主観的」と合わせて調べてみましょう。
「客観的」=「自分だけでなく、だれの目にもそのように見えるようす」
「主観的」=「自分だけの見方にかたよるようす」
(『三省堂国語辞典 第七版』)
つまり、「客観的」とは、個人的な見方ではなく「だれの目」からも共通する見方を意味することが分かります。新聞で報道される、また、調査研究で明らかにされる「事実」があてはまります。この点を踏まえて、以下の文A・B の下線部のうち、どちらが客観的かを考えてみてください。
A.〇〇氏が当選する。なぜなら、たくさんの票を集めているからだ。
B.〇〇氏が当選する。なぜなら、過半数30票を超える45票を集めているからだ。
Aの「たくさん」は、人によって捉え方が異なる主観的な表現です。一方、Bの「過半数30票」、「45票」という数値は、個人の捉え方で揺らぐことがない事実です。つまり、客観的なのはBです。このような、客観的な事実を根拠とすることで「〇〇氏の当選」に説得力が出ることが分かります。
2論理的に述べているか
「論理的」であることも小論文において問われるポイントです。まずは、「論理」の意味を確認します。
「論理」=「ある事実から、当然、次の事実が言えるという、話しのすじみち」
(『三省堂国語辞典 第七版』)
この内容だけで理解するのは難しいかもしれません。ただし、文章を書くことに置き換えれば、文と文の内容が矛盾なくつながっていること、といえるでしょう。まずは、以下の例文を見てみましょう。
A 地球温暖化の原因は、温室効果ガスの濃度が上昇していることだ。B 温室効果ガスの約7割は二酸化炭素であることが分かっている。C よって、地球温暖化の対策として二酸化炭素の排出量を抑えることが必要だ。
ここでは、A「地球温暖化の原因=温室効果ガス」、B「温室効果ガス=7割が二酸化炭素」、C「二酸化炭素排出量を抑えること=地球温暖化の対策」というように、前の文で述べた意味を引き継ぎながら次の文へと議論を進めています。こうしたリレーのように切れ目のない意味のつながりが「論理」です。
仮に、この例文から二文目(B)を除いて読んでみてください。すると、「地球温暖化の原因」は「温室効果ガス」にあるとして、なぜ「地球温暖化の対策」として「二酸化炭素の排出量を抑えること」が出てくるのか分からなくなります。このように、論理の順序が追えていないことを「論理の飛躍」といいます。述べていることが飛躍しないよう、文のつながりを意識して文章を組み立てましょう。
ちなみに、論理的に考えを述べることを「論述」、「論じる」ということもおさえておきましょう。
以上のように、小論文は正解のない問題に対する考えを表現する文章です。書き手は文章を通して、文章を書く力はもちろん、問題を読み解く力や論理的に考える力、社会や専攻分野の知識などが測られます。
目次
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STEP.1
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STEP.2
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STEP.3
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